ここでは、基本的ないくつかのカウンセリングの考え方とともに、それが私たちの心理的回復やメンタルヘルスの維持向上にどう役に立つのか、あるいはどんな場合に役に立ちにくいのかなどを、できるだけ一般の方々にもわかりやすくまとめてお話してみます。

皆さんのこころの苦しみに、カウンセリングがどんなふうに助けになるのか、カウンセリングを受けたほうがいいかどうか、あるいは、今受けているカウンセリングや心理相談が自分に合っているかどうかなどについて、皆さんが参考にできて、少しでもお力になれたら嬉しいです。

カウンセリングとは

カウンセリングの語源は、「ともに考える」という意味のラテン語で、まさに、相談する人とされる人がともに考えていくのが、カウンセリングです。
カウンセリングは、かつては職業選択指導や学生の心理支援に始まりましたが、現代は、心理的苦悩や心理的外傷体験からの回復支援や、日常生活の中の心理的問題の改善、個人の心理的成長や成熟、よりよい自己の生き方や各人の幸せ(well-being)のありようの探求や実現まで、広い目的を持つ心理的支援です。
このうち、特に心理的苦悩や心理的問題の改善を目的としたものを、「心理療法(サイコセラピー)」と呼ぶこともありますが、カウンセリングと心理療法はほとんど同じ意味で使われることが多いです。

カウンセリング(心理療法)の理論は、いわば、「どうして、私たちは心苦しむのか」&「どうすれば、その心の苦しみが解消されるか、癒されるか」についての「仮説セット」です。
この知見とスキルを一般人のレベル以上に、備えているのが「専門家」カウンセラーということになります。

カウンセリングにはあなたに合うもの、合わないものがある

実は、「どうして私たちは心苦しむのか」&「どうすればそれが癒されるのか」の「仮説セット」である専門的理論はいろいろあります。ただし、「専門的」な理論であっても、その仮説や支援の方法はそれぞれで、共通するところや似たようなところもあれば、かなり異なっていたり、正反対のものもあります。
ですから、ある人の同じ心の苦しみに対して、専門家によっては、まったく逆のアドバイスになることがあります。

それはすなわち、あなたやあなたの抱える苦しみに合った「理論」もあれば、合わない「理論」もあるということです。あるいは、その考え方が、今の自分には合っているけれども、後になると合わなくなるということもあります。
さらには、「専門家カウンセラー」による比較的長期間の支援を前提とするものもあれば、短期間を基本とするもの、あるいは、専門家の助けはそれほど要らず、自分自身でやれるような方法まで、さまざまです。

ですので、あなたの心の苦しみやあなたの性質に少しでも合ったカウンセリングの考え方を選ぶということが、とても大切になります。

また、専門的な知識やカウンセリングだけでは、私たちの深い心の苦しみは十分には晴れません。カウンセリングの考え方と、日常的な生活上の知恵や、これまでの皆さんの体験や創意工夫の積み重ねをうまくいかして、心の苦しみへに対応していくこと、そして、自分の成長に応じて、その対応法をマイナーチェンジしていくことが、メンタルヘルスの維持や向上、すなわち、私たちが幸せ(well-being)に生きていく上で大切なのです。

本当の専門家カウンセラーとは

本当の心理支援の「専門家」は、それらのことをしっかりとわかっていて、皆さんの苦しみが癒され、幸せの道を歩んで行けるようになることを見据えて、一人ひとりのありように応じて、それを手伝ってくれる、助けてくれる人です。

でも、必ずしも、多くの「専門家」カウンセラーがそう思っているとは限りません。自分の知っている「専門的」な「理論」ばかりにこだわったり、皆さんのこれまでの工夫や努力を軽視してしまったりということもないとはいえません。
率直なところ、たとえ公認心理師や臨床心理士などの専門家資格を持っていたとしても、そのレベルはまだまだ玉石混交で、本当にあなたの役に立つ専門家に出会うのは、それほど容易ではありません。実際、自分に合わないカウンセリングを受け続けて、余計に幸せから遠ざかってしまっていると思われるケースも、ないことはないのです。

そうならないためにも、カウンセリングやカウンセラーが、あなたや身近な人の苦しみに実際に役に立つかどうかを、ある程度、自分が判断できるようになりたいのです。
そのためには、代表的なカウンセリング理論、つまり、多くのカウンセラーが拠り所としている考え方を、ある程度知っておいたほうがいいのです。

そうすることで、

  • 1自分や身近な人が心苦しんでいるときに、その考え方自体が助けとなる可能性があります
  • 2カウンセリングを受けたほうがいいか、人にすすめたほうがいいか、どんなカウンセリングが今の苦しみに有効な方法か、などを判断しやすくなります
  • 3心の苦しみが強くて言動のバランスが悪くなってしまっている人、すなわち相手にしたり、付き合ったりするのが難しい人の理解にも役立ったりします

ですので、まずは皆さんが知っておいて損のない、4つの代表的なカウンセリング理論を紹介してみます。

です。

ただし、これからの説明は、それぞれの理論に完全に則ったものではありません。少しでも皆さんの心の苦しみの軽減や解消に役立つように、私なりの観点やアレンジも含まれたものです。
ですので今後、内容を変更したり、この4つの考え方以外にも役に立つ考え方がありますので、そのわかりやすい解説を追加したりする予定です。

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